なんというけたたましい世の中となったことだろう。
これまでクリスマスのセールスは、感謝祭(今年は11月22日の木曜日)の翌日の金曜日
(ブラック・フライデー)に開始されるのが常だったが、今年は大型店が軒並みそのスケジュールを前倒しし、感謝祭の日の午後8時や9時にセールスを開始すると発表した。
これでは、家族・友人が集まって、年に一回やって来る「感謝する日」の意味合いも薄れてしまいそうでだ。東芝の40インチICDテレビが、240ドル値引きされて179ドルで買えるとなると、「8時開店だから、5時には店の前に行って並ばなくっちゃ」という心境になって、感謝に
満ちた話題や会話どころでは無くなるのではないだろうか。
アメリカ人は何を最も感謝したか
同様の懸念からか、ウオール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)のコラムニストのP・ヌーナン
女氏が、知人友人に「あなたは何を最も感謝したか」と訊いて、みなの返答を11月24~25日のWSJに取り上げている。
それによると、殆どのアメリカ人がその日、真面目に感謝したことが伝わってくる。
みなが真っ先に挙げたのは、矢張り「家族と友人」で、「みなが健康であること」に感謝。続いて「選挙が終ったこと」に感謝、そして「アメリカ」に感謝。
具体例を引用してみよう。
サンディ被害者が取り立てて感謝したのは、「生きていてハッピーであること」「12日間泊めてくれた友人(頭上に屋根があること)」「只でガソリンをくれた州兵軍人」「電気」「友人の
子供たち(友人を辛抱強くさせ、私達大人の気分を転換してくれた)」
その他としては、「退屈しない人生であること」(弁護士)「政治劇がまるでカフエインを提供してくれたようで、コーヒーを飲まずにすんだこと」「誰かは知らないが、テキスト・メッセージを
発明した人」「知らぬ間にいついてしまった野良猫のBuddy the Cat」
大統領選挙の結果に関係なく、アメリカ人はみな選挙が済んでほっとした模様だ。そして、
世界一の「権力と権威」の座を公に戦い、暴動化することもなく、平和裏に、有権者が時には
10時間も並んで投票した「アメリカ」という国を誇りに思い、感謝の念を再確認した模様
である。
これを書きながら私が思うのは、「あなたが今、最も感謝していることは何ですか」と日本人に問うたら、どんな返答となるだろう、ということ。